クローン病とは

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クローン病とは ? この“原因不明の炎症性腸疾患”の治療法は?

公開日
更新日

 
執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
 
医療監修:株式会社 とらうべ
 
 
クローン病とは 下痢や腹痛、発熱などの症状が長期に渡って繰り返される、原因不明の炎症性腸疾患の一つです。
国の難病に指定されており、多くの場合、症状が治まったり、再発したりを繰り返すため、長期に渡って、付き合っていく必要のある病気です。

 
 

クローン病とは :原因と実際

 

原因は、まだ明らかにされていません。しかし、何かしらの遺伝的要因に加えて、食事をはじめとする環境要因が関与し、腸の粘膜の免疫が過剰に反応したときに発症することが、近年の研究で指摘されています。

 
また、ストレスも症状を悪化させる要因の一つと考えられています。クローン病患者数は年々増加傾向にあり、難病センターによると、1976年の特定疾患医療費受給証交付件数は128人でしたが、平成25年には39,799人と発表されています。
男女の比率は、約2:1で男性の方が多く発症しています。また10代後半~30代前半の比較的若い世代に多いことが特徴で、発症する年齢は、男性が20~24歳、女性が15~19歳に最も多くみられています。

 
世界では、北米やヨーロッパなどの先進国に多く、人口10万人あたりの患者数をみると、日本の10倍程度の数にのぼります。タンパク質や動物性脂肪を多く摂取する食生活が発症に関連するとも考えられており、発展途上国に比べて先進国で患者数が多いことは、環境要因が大きいと言えるでしょう、
 
 

クローン病とは:症状

 

では、クローン病とはどのような病気なのでしょうか。
クローン病を定義するには「消化管のどの部位にも起こりうる」「慢性炎症性疾患」というキーワードがあります。
つまり平たく言うと、口の中から食道、小腸、大腸、肛門にまで至る、食べ物を消化・吸収する役割のある消化管に起こりうる病気である、ということ。

 

また、なんらかの原因で受けた障害に対して、身体に備わった免疫が防御反応(炎症反応)を起こすため、深いキズのような潰瘍ができ、その症状が落ち着いたり、再発したりを繰りかえすため、長期にわたって続くというものです。その中でも、多くの場合は小腸~大腸にかけて、そして、肛門部分に発症します。症状は消化器のどの部分が侵されるかによって異なりますが、特徴的なものに腹痛と下痢があり、患者の約半数にみられます。

 

また、それに関連して発熱や下痢、栄養が十分に吸収されないことによる体重減少、貧血や体のだるさといった症状も現れます。さらに症状が深刻になると、腸の通り道が狭くなったり、腸に穴があいたり、関節の炎症や痔ろうという肛門の合併症が生じることもあります。

 
 

クローン病とは:診断

診断するためには、レントゲンや内視鏡で腸の状態を確認したり、組織を採って検査することが必要です。実際には、若い世代の患者が原因不明の腹痛や下痢、発熱、貧血などを訴えで受診し、検査をすすめた結果、クローン病と判明することも多くあります。

 
消化管すべてに炎症が起こっている可能性もあるため、食道~胃、小腸、大腸、肛門まですべてを検査する必要があります。その結果、クローン病に特徴的な病変がみつかると、診断が確定されます。

 
 

クローン病とは :治療

 
現在の医療では、クローン病を根治させる治療法は確立されていません。クローン病は、症状が強まる活動期と、一時的に軽くなったり、消えたりする寛解期(かんかいき)を繰り返します。

 
寛解期は、必ずしも完治した状態ではありませんが、症状が落ち着き安定するため比較的生活に支障なく過ごすことが出来ます。クローン病と診断された初期や活動期の目標は、寛解の状態を目指すことであり、寛解期には、いかにその状態を保って再発や悪化をさせないかが重要になります。
治療法としては、患者の状態に合わせて、次のようなものから選択し、必要に応じて複数組み合わされます。

 

・栄養療法
クローン病初期や症状が悪化している時には、入院の上、絶食となることがあります。また、脂質が病気を悪化させる引き金にもなるため、クローン病と付き合っていくには、食事の制限をしながら、栄養療法を受ける必要があり、どの段階においても基本となる治療法です。

 
 
一般的には成分が調整された栄養剤を口から、または鼻にチューブを通して摂取します。しかし腸の通り道が狭くなっているなど重症の場合は、点滴で血管を通して身体に必要な栄養を入れる静栄養法が選択される場合もあります。
症状が落ち着けば、徐々に1日の必要摂取カロリーに占める栄養剤の割合を減らしていき、肉類や脂肪分の少ない食事が開始されます。症状に合わせて生活の質を出来るだけ下げないよう留意しながら、食事の制限や栄養剤の量といったバランスが検討されます。

 

薬物療法
薬物療法にはさまざまな種類があり、通常栄養療法と並行しながら、症状に応じて選択されます。軽度~中等度の場合は、5-ASA製剤、ペンタサ、サラゾピリン、といった薬剤が中心となり、炎症が強い時にはステロイド剤や抗菌薬も用いられます。
 
 
また、通常の治療では効果が乏しい場合や、重症の例などで使われる点滴、皮下注射といった治療法もあります。寛解期にも症状を再発させないことが重要なため、寛解維持を目的に、必要な薬を継続して服用することになります。
 
 

・外科治療
手術などの外科治療が必要となるのは、腸の通り道が狭くなる狭窄が強い場合や、出血がある場合、肛門の周りに膿が溜まり感染したりする場合など、栄養療法や薬物療法では改善が見込めない時です。悪化や合併症を予防するために、腸の問題となる部分を開腹または腹腔鏡下で切除する方法や、肛門周囲の膿瘍に対しては、一部を切るか管を通すといった方法で膿を身体の外へ出す方法もあります。
 
 

・内視鏡治療
 腸が狭くなっている部分に対しては、内視鏡で拡張する治療が行われる場合もあります。
 
 

難治性のクローン病は長きに渡って付き合う必要があり、どの治療法を選択するとしても、患者の生活に大きく関わります。そのため、身体の状態や今後起こり得ること、治療を選ぶ根拠など、病院で詳しく説明を受けながら、方針を決定していくことになります。
 
 

クローン病 まとめ

・クローン病は原因不明の炎症性腸疾患の一つで、国の難病に指定されている。
・原因には、遺伝的要因に加えて、食事などの環境要因が関連すると考えられている。
・日本の患者数は北米の10分の1程度だが、年々増加傾向にある。
・若い世代が発症することが多く、男性が女性の約2倍である。
・代表的な症状には下痢や腹痛があり、貧血や体重減少を伴うこともある。
・治療は寛解期を維持することが目標となる。
・栄養療法や薬物療法、外科治療、内視鏡治療などが組み合わされる。
・長期にわたって付き合う必要があるため、生活の質を高めることが重要である。
 
 
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師、助産師、看護師、保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
 
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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